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2014年7月16日 (水)

桂望美『嫌な女』(光文社文庫)

”詐欺師なんて、嫌われもんだと思うだろ。違うんだ、愛されるんだよ、詐欺師ってのは。人から愛される特技のあるもんじゃなきゃ、人なんて騙せない。” 
この生来の詐欺師、夏子を、遠い親戚だということで毎度弁護する女性弁護士、徹子。物語は二人が20代のころから始まり、年を経て還暦を過ぎるまで続く。天然の愛されキャラを存分に生かして、手を変え品を変え人を誑し込んでいく夏子の手管も見事だが、騙された人たちが幸せそうなのもまた憎らしい。

全編を通じ、夏子は弁護士徹子の目を通してのみ描かれる。徹子が夏子を取り巻く人たちに話を聞いて回ることで物語は展開するが、「本当に夏子は人を騙しているのか。」それぞれのケースがひとつのミステリーである。そして、「騙されても幸せなら良いのか。」その謎解きも十分ミステリーだ。ケースを経るほど、”冷めた目で依頼人を見ている”弁護士徹子が変わっていく、その成長譚としても楽しめる。

桂望美氏の秀作、久しぶりに堪能しました。


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