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2014年6月16日 (月)

田坂広志『知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代』(光文社新書)

著者は、“「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。”と説く。非常に哲学的だが、身近な事例としての「部下の異動」がとても印象に残った。

自分の部下を他部署から「欲しい」と言われた時、出すべきか。深く考えるならば、それはまさに「答えの無い問い」である。この時、知性に乏しいビジネスマンは、答えのないことへの対処として「楽になりたい」と思い、問題を単純化して「割り切り」をする。ここでは「相手が欲しいと言っているのだから…」といって思考を停止し、割り切る。

これに対し、知性を磨き続ける上司は、彼の飛躍のためと「腹決め」し、その後、その部下のことを考え続ける。河合隼雄の“愛情とは、関係を断たぬことである”という言葉を引き、「心の中で関係を断たぬ」という形で、かつての部下のその後を気にかけ、愛情を抱き続ける。それはたいへんな「精神のエネルギー」が必要だが、それこそが、「知性」というものの根底にある力であり、「知性」を磨き続けるために求められる力だ、と説く。

確かに、ビジネスでも生活の中でも、価値観が多様になっているからこそ、「答えのない問い」は増えていくし、我々世代が直面し、解決を求められる。「考え抜く」「考え続ける」ことを止め、淡白になってしまっていないか。自省することしきりである。


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