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2014年4月17日 (木)

クリスティン・バーネット『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい 』(KADOKAWA)

これは今年の絶対の一冊。電車を2回も降り損ねそうになりました。とにかく読んでみてほしい。
自閉症と診断された少年が、類稀な数学的才能を開花させていく物語で、その少年を育てた母親が筆者。さなぎから蝶が羽化する瞬間のような、そのきらめきの描写に陶然とさせられる。しかしこれはまた強く賢明な母の物語でもある。

重度の発達障害の息子を抱え、セラピーを転々としながら疑念を抱き、「自分のやり方で」息子を「普通に」育てることを決断する。そしてさらに、他の自閉症児のための施設をも自ら開設する。重くのしかかる貧困。そして生まれてくる第二子にも重度の障害。でもあくまで明るく、ユーモアにあふれ、信念に満ちてその闇を生き抜いていく。だからこそ、差し込んできた光の何とも美しいこと。

「育てる」ということはどういうことか。天才でなくとも、自閉症でなくとも、多くの示唆にあふれた本である。

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