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2014年1月20日 (月)

デイナ・プリースト,ウィリアム アーキン『トップシークレット・アメリカ:最高機密に覆われる国家』 (草思社)

なかなかの読み応えでした。

9・11後のアメリカの何でもありの情報収集の実態は恐ろしい。完全に秘匿できる情報などないのではないかと思えてしまう。しかし一方で、あれだけ凄惨なテロの後、アメリカは資金も組織も湯水のごとく注ぎ込みながら、ビンラーディンの捕捉には長い年月をかけてしまう。

米政府が過剰な情報に翻弄され、NSAやCIAをはじめ林立する組織は対立し、やがて統制不能に陥っていく。情報収集活動や分析が民間に委託されていく過程で、「シークレット」の数々は当然民間と共有もされていく。そららに関する生々しい証言の数々は、まさにホラーだ。

国益を脅かす真の「機密」とは何なのか、それは誰がどのように扱うべきなのか。その問いに対し、本書は多くのファクトを提示することで手がかりを示していく。そして現代世界では国を揺るがす「情報」などせいぜい大統領の持つ「核コード」くらいで、その他は漏えいしても社会システムが複雑化していて情報単体では国は揺るがない、という本書の指摘には、はっとさせられる。我々は「機密」という実体のない何か、言葉そのものに踊らされているのではないか。

日本の機密の議論に触れるにあたっても、隣国の実態は考えるヒントを多く与えてくれる。そもそも読み物としても面白い。おススメ。

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