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2014年1月

2014年1月20日 (月)

デイナ・プリースト,ウィリアム アーキン『トップシークレット・アメリカ:最高機密に覆われる国家』 (草思社)

なかなかの読み応えでした。

9・11後のアメリカの何でもありの情報収集の実態は恐ろしい。完全に秘匿できる情報などないのではないかと思えてしまう。しかし一方で、あれだけ凄惨なテロの後、アメリカは資金も組織も湯水のごとく注ぎ込みながら、ビンラーディンの捕捉には長い年月をかけてしまう。

米政府が過剰な情報に翻弄され、NSAやCIAをはじめ林立する組織は対立し、やがて統制不能に陥っていく。情報収集活動や分析が民間に委託されていく過程で、「シークレット」の数々は当然民間と共有もされていく。そららに関する生々しい証言の数々は、まさにホラーだ。

国益を脅かす真の「機密」とは何なのか、それは誰がどのように扱うべきなのか。その問いに対し、本書は多くのファクトを提示することで手がかりを示していく。そして現代世界では国を揺るがす「情報」などせいぜい大統領の持つ「核コード」くらいで、その他は漏えいしても社会システムが複雑化していて情報単体では国は揺るがない、という本書の指摘には、はっとさせられる。我々は「機密」という実体のない何か、言葉そのものに踊らされているのではないか。

日本の機密の議論に触れるにあたっても、隣国の実態は考えるヒントを多く与えてくれる。そもそも読み物としても面白い。おススメ。

2014年1月14日 (火)

ライアン・ホリデイ『グロースハッカー』(日経BP)

面白かった。「モノ」や「サービス」をどう売るか、その根本的な「考え方(本書ではマインド・セット)」を問い直す本。

映画のように、TVCMを大々的にうち、イベントを行い、メディア露出を増やし、といったカネはかかるが成果のはっきりしない旧来型販促手法から脱却。製品開発から参画してユーザーを魅きつける仕掛けをビルトインし、口コミを起こして拡散し、お試しユーザーを定着させる。そのために製品そのものを不断に改善し続ける、そのプロセスそのものを設計し、マネージしていくのがグロースハック、というところか。

ウェブサービスのようなこの手法に適した商品があるのは確か。しかし、ネットの世界の話でしょ、と切って捨てるのは愚かで、あらゆる商品にグロースハック的(この言葉自体は感じ悪いが)な「考え方」をとることは可能ではないか、と思う。また、webやネットを使った社内的な仕事の改善、効率の向上にも応用が可能だろう。

 


極めて記述が簡明で、重要なところにマーキングまでしてあり、あっという間に読める。加えてこの本は、末尾に「解説」と称してクックパッドの幹部が、自社における有料会員拡大のための具体的実践を記述しているところが魅力。

考え方自体は、ITビジネスに通じた人には「当たり前」なのかもしれないが、一読の価値あり。おススメ。

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