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2013年10月18日 (金)

島田雅彦『ニッチを探して』

島田雅彦『ニッチを探して』。「ニッチ」とは「隙間」ではなく、生物それぞれの生息に適した場所、環境のこと。義憤から銀行を辞めた主人公が、家族を捨て、自分のニッチを探して放浪の旅に出る。ホームレスになろうとしてなりきれず、ついには絶命の危機に。
スペクタクルな物語の主役の脱力っぷりが、よい。無個性で、淡々として、何物になろうともせず、ただ流れに身を任せて放浪する。それだけに、出会う人々の個性が際立って、楽しい。大食いプロホームレスやら、幽霊やら、痴呆の謎の熟女やら。赤羽とか、中野とか、吉祥寺とか、彷徨う街の描写もリアリティに溢れて、自分になじみのある街のこともあって、これまた楽しい。
しかし、「なんだかなー」な小説なのだ。読み始めて「なんだかなー」なのだが、その「なんだかなー」がだんだん心地よくなって、ページをめくる手が止まらない。きっと、キリキリに追い込まれて、自分が何者なのか自信がなくなったりして、でもどこにも行くところがなくて、「なんだかなー」とモヤモヤした時にモヤモヤっとしたまま読むと「なんだかなー」のまま適当なところに心が着地しそうな、そんな小説。「なんだかなー」。

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